コラム
Column
更新日:
借り上げ社宅に住むのはやめとけ?メリットとデメリットを徹底解説
求人を見ていると「寮完備」「社宅あり」などの記載を目にすることがあると思います。
しかし、企業の求人の中には上記のような記載に対して、寮と社宅の違いとはなんなのか疑問に思ったことはないでしょうか。
住み込み求人の中には似たような言い回しも沢山あるため、困惑してしまいますよね。
また、借り上げ社宅についてインターネット上で調べてみると「借り上げ社宅はやめとけ」という口コミもあり、本当に大丈夫なのか不安に思っている方もいると思います。
本記事ではそんな疑問を解消するために、借り上げ社宅に関する基本情報やメリット・デメリットについて解説していきます。
目次
借り上げ社宅とは?
まず、借り上げ社宅とは、企業が不動産会社と賃貸契約した物件を、従業員に貸し出している福利厚生のことを指します。
特徴として、従業員は周辺地域の約10~20%程度の自己負担額で通常よりも安く賃貸に住むことができます。
対して、企業側としても、自社をアピールすることができるので人材採用の強化としても効果を発揮します。
従業員と企業側、双方に節税効果も生じるので経済的なメリットが様々あります。
しかし、借り上げ社宅には企業があらかじめ賃貸契約している物件に住むことになるので、部屋の間取りや立地など、物件選びが限定的になってしまったり、退職したら、即退去しなくてはいけないなどのデメリットもあります。
また、借り上げ社宅と似た福利厚生として、借り上げ寮や社有社宅という福利厚生もあるので、ここではその違いについて詳しく解説していきます。
借り上げ社宅と社有社宅の違い
住み込み求人には借り上げ社宅の他にも「社有社宅」という住居形態があります。
社有社宅とは企業が所有している物件のことを指します。
借り上げ社宅は不動産会社を仲介し、物件オーナーから賃貸物件を借りて、従業員に提供しているのに対して、社有社宅は土地や物件そのものを企業が所有し、その物件を従業員に提供しているため、不動産会社の仲介や物件オーナーと賃貸契約を結ぶ必要がありません。
簡単にいうと物件の所有権が違うということです。
例えるなら、自分で車を購入して使用するのと、レンタカーを借りて使用するみたいなことです。
なので、もちろん所有権が自分である社有社宅は自己管理する必要があるのに対して、借り上げ社宅はメンテナンスなどを管理会社が行ってくれます。
企業側が自分で購入した社有社宅であれば、長く使えば使うほど、借り上げ社宅よりも安くできるので、社有社宅の物件は老朽化しているケースが多いです。
他にも借り上げ社宅と社有社宅、それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 借り上げ社宅 | ・ある程度物件が選べる ・普通の一人暮らしに比べ賃料が安い |
・社有社宅に比べ賃料が高い |
| 社有社宅 | ・企業側は物件の更新が必要ない ・借り上げ社宅に比べ賃料が安い |
・立地や間取りが限られている ・老朽化が進んでいる場合がある |
| 共通点 | ・物件探しが不要 ・普通の一人暮らしよりも賃料が安い ・企業と従業員ともに節税になる |
・物件を自由に選べるわけではない ・退職と同時に退去しなくてはならない |
社有社宅は一度企業が物件や土地を買い切ってしまっているので、物件の立地を他の場所に移すことは、多額のコストがかかってしまうため行う企業は少ないでしょう。
そのため、物件の自由度は借り上げ社宅に比べ、かなり限定的になる場合があります。
また、管理も企業が行っているので、なるべくコストをかけたくない企業は通常の賃貸物件よりも管理が疎かになっている場合が多いです。
また、後ほど詳しく解説しますが、借り上げ社宅、社有社宅共に、賃料が給料から天引きされているケースが大半なので、節税にもなり、通常の仕事と比べ手取りが増えるのも大きなメリットです。
借り上げ社宅と借り上げ寮の違い
次に借り上げ社宅と借り上げ寮の違いについて解説していきます。
まず、結論からいうと社宅と寮の明確な違いは定義されていません。
掲載されている求人を見ると寮や社宅と記載されていますが、法律的に明確な定めがないので、企業によって異なる場合があります。
しかし、一般的には単身向けのものを「寮」、家族と共に生活できるものを「社宅」という呼び方をします。
寮は住居人がその会社の従業員のみで構成されている物件であり、中には労働者同士で食堂、浴室、トイレなどを複数人共有で使うように設計されている場合もあるため、プライベートな空間を作るのは難しい傾向にあります。
対して、社宅は家族で生活することも想定されているため、従業員同士で共有の場所や施設を利用することはありません。
寮とは異なり、同じマンションやアパート内には会社の同僚もいると思いますが、一般の住居人が住んでいる事もあり、自分で賃貸契約をして生活するのとあまり変わらない場合が多いです。
会社の人と共同生活をしたくないと考えている人は「社宅」を選ぶことをおすすめします。
ですが、寮と社宅の定義が不確定なので求人応募する際に念のため企業側にどういう物件なのか確認しておくとより確実です。
借り上げ社宅のメリット
ここまで、借り上げ社宅の概要や寮と社宅の違いについて紹介しましたが、借り上げ社宅のメリットとして、社宅の説明にも合った通り、寮に比べて、プライベートな時間や空間が確保しやすい環境になっています。
そのほかにも借り上げ社宅には様々なメリットがあります。
- 物件探しや契約の手間がない
- 社会保険料や所得税の負担が軽減
- 安い家賃で暮らすことが可能
ここでは、借り上げ社宅のメリットについて詳しく解説していきます。
物件探しや契約の手間がない
次に借り上げ社宅のメリットとして物件探しの手間がかからないことが挙げられます。
具体的には、そもそも不動産会社に行く手間が省けます。
不動産会社に行くことがなければ、面倒な事務的な手続きをしなくても済むことや複数の物件に対して内見に行く必要もありません。
ですが、中には内見できないと安心できないという方もいると思います。
もちろん、内見が可能な住み込み求人を出している企業も多数あるので、必要な方は一度企業へ内見ができるのか確認をしたうえで申し込むのでもよいでしょう。
また、借り上げ社宅は家賃を口座引き落としや振込で支払うのではなく、給料から天引きする形なので、口座登録なども不要になります。
社会保険料や所得税の負担が軽減
借り上げ社宅には、一定の条件を満たすことで税負担を抑えられる場合があります。ただし、「給与から家賃が引かれた金額だけ課税所得が減る」という仕組みではありません。
国税庁によると、従業員が会社から社宅を借りる場合は、税務上の「賃貸料相当額」の50%以上を家賃として負担していれば、会社が負担した差額は原則として給与課税されません。一方、住宅手当を現金で受け取る場合や、従業員が直接契約した家賃を会社が負担する場合は給与として課税されます。
社会保険では、現金で受け取る給与だけでなく、社宅などの現物給与も一定の基準で報酬に含めて標準報酬月額を決めます。そのため、借り上げ社宅を利用しただけで社会保険料が必ず下がるとは限りません。
税金や社会保険の扱いは会社の制度によって変わるため、給与明細や社宅規程も確認しましょう。
安い家賃で暮らすことが可能
自分で物件を借りて、家賃を払うのに比べて、借り上げ社宅や社員寮は賃料の一部を企業側で負担してくれるため、その分安く住むことができます。
そのため、生活コストを下げることができるので、自由に使えるお金や貯金を増やすことも可能です。
普通の一人暮らしの場合、地域にもよりますが、全国平均の家賃は約5万円となります。
借り上げ社宅の場合、自己負担額はその地域の約10~20%と言われているため、5万円だった場合、5千円~1万円ほどだと考えられます。
もとの家賃が高ければ差は広がり、7万円であれば7千円~1万4千円、10万円であれば1万円~2万円となるので、グレードの高い賃貸でも、数万円で生活ができるのはかなりお得ですよね。
社員寮の場合、会社にもよりますが、家賃は数千円~2万円ほどだと言われています。
中には、寮費と光熱費が無料のところも沢山あるので、短期的に貯金をしたい人にはかなりおすすめです。
社員寮の家賃の平均相場は別記事で詳細にまとめておりますので、興味があれば是非チェックしてみてください。
借り上げ社宅のデメリット
ここまで、借り上げ社宅のメリットについて解説していきましたが、もちろんデメリットも存在します。
借り上げ社宅の主なデメリットは下記の通りです。
- 退職と同時に住む場所を失う可能性
- 物件や間取りを自由に選べない
- 社会保障額や失業保険が減る可能性
将来にも関わるものも含まれているので、メリットとデメリットを比べて、自分の状況にあった選択をすることが重要です。
それでは借り上げ社宅のデメリットについて詳しく解説していきます。
退職と同時に住む場所を失う可能性
借り上げ住宅や社員寮に住むことができると家賃が安く済んだり、節税効果があることで手取りが増えるメリットがあります。
ですが、一方で企業側にサポートをしてもらっているため、退職する際にサポートも失われていきます。
退職する際に失われるサポートの一つとして、住居に関するサポートがなくなることが挙げられます。
借り上げ住宅や社員寮は企業側が賃貸契約をしているため、退職するとすぐに退去する必要があります。
退職を検討する際には同時に次の住居を決め、ある程度引っ越しの準備を進めてから退職した方が良いでしょう。
また、借り上げ住宅は一般的に契約途中で退去すると違約金を請求される可能性があります。
転勤などの会社都合による場合は違約金の発生はありませんが、自己都合の退職などに関しては違約金が発生する場合があるので、事前に確認したりするなど注意が必要です。
物件や間取りを自由に選べない
借り上げ住宅のメリットの中で、物件を探す手間や内見、契約などの事務手続きが不要になると紹介しましたが、その分、物件の選択肢が限定されているということになります。
基本的に借り上げ住宅はあらかじめ企業側が借りている賃貸物件に住むことになるので、賃貸契約している物件の中から部屋の間取りなどを選択することはできますが、契約している物件が少なければ少ないほど、選べる幅は狭くなってきます。
また、人気の物件であれば、既に埋まってしまっている可能性も十分にあるので、希望通りの物件に住めるかどうかは確認する必要があります。
社会保障額や失業保険が減る可能性
給料から家賃を天引きされることで、所得税や社会保険料の徴収額が減り、手取りが増えると紹介しましたが、社会保険料が減ると年金や失業保険の受給額が減ってしまう場合があります。
社会保険料は所得に応じて支払う金額が変化しますが、医療保険も所得を基準として、傷病手当、出産手当の受給額が算出されるため、自分が出産や怪我、病気など働けないときに思ったよりも、受給額が低くなっている可能性があります。
また、年金も同様に社会保険料が減るとその中にある厚生年金の保険料も減少します。
そのため将来受け取れる老齢厚生年金の金額も減少し、遺族厚生年金や障害厚生年金の金額にも影響する可能性があります。
借り上げ住宅に住むのが数年であれば、さほど影響はありませんが、10年ほど住み続けていると通常の暮らしに比べ、将来貰えるお金の差が広がっていくので、注意が必要です。
しかし、その分節税もできているわけなので、日々、将来の為に貯金を作れるのであれば問題ないでしょう。
借り上げ社宅で後悔しないために確認すること
借り上げ社宅は、家賃の安さだけで決めると、入居後に想定外の費用やルールに困ることがあります。
応募や入居の前に確認したいのは、主に以下の3点です。
- 家賃以外の費用と自己負担範囲
- 同居・ペットなどの入居ルール
- 退職・転勤時の退去条件
求人情報だけではわからない部分もあるため、面接や入社手続きの際に社宅規程や具体的な条件を確認しておきましょう。
社宅の条件を確認したうえで実際に求人を比較したい場合は、寮付きの仕事の探し方も参考にしてください。
家賃以外の費用と自己負担範囲を確認する
借り上げ社宅を利用する際は、毎月の家賃だけでなく、何を自分で支払うのか確認しておきましょう。
会社や物件によっては、共益費・管理費・駐車場代・水道光熱費・インターネット料金などが自己負担になることがあります。退去時の清掃費や原状回復費についても、すべて会社が負担するとは限りません。
「家賃が安い」という理由だけで判断せず、毎月かかる費用と入退去時に発生する可能性がある費用をまとめて確認すると、実際の生活費を比較しやすくなります。求人票に記載がなければ、応募時や面接時に確認しておくと安心です。
同居・ペットなどの入居ルールを確認する
一般的な賃貸物件を借り上げている場合でも、自由に暮らせるとは限りません。会社の社宅規程や物件側の契約条件によって、入居中のルールが決められている場合があります。
特に確認しておきたいのは、以下のような項目です。
- 配偶者や家族との同居
- 恋人との同棲
- ペットの飼育
- 車やバイクの持ち込み
- 来客や宿泊
- 入居できる期間や年齢などの条件
自分の生活スタイルに関係する条件がある場合は、入居してから気づくのではなく、事前に確認しておきましょう。
借り上げ社宅だけでなく社員寮も候補にしている場合は、社員寮の門限やルールも確認しておくと、入寮後の生活をイメージしやすくなります。
退去期限と名義変更の可否を確認する
借り上げ社宅は会社が契約しているため、退職や転勤によって利用資格を失う場合があります。ただし、いつまでに退去する必要があるかは、会社の社宅規程や契約内容によって異なります。
また、現在の部屋に住み続けたい場合、会社や貸主の承諾を得て、法人契約から本人名義の個人契約へ切り替えられるケースもあります。ただし、あらためて入居審査を受けたり、初期費用が発生したりする可能性があります。
転職や退職を考えている場合は、退去期限だけでなく、名義変更の可否や退去時にかかる費用まで確認しておきましょう。
借り上げ社宅に住むのはやめとけと言われる理由
借り上げ住宅について調べていると「借り上げ社宅はやめとけ」というマイナスな意見を目にすることがあります。
インターネット上でマイナスの意見があると中々決断することができませんよね。
なので、ここでは借り上げ社宅はやめとけと言われている理由について紹介していきます。
しかし、結論からいうとやめとけと言われていますが、実際には借り上げ住宅が合っている人も沢山いて、メリットやデメリットのバランスを考えて自分のライフスタイルに合ってるかどうかを考えて決めることが重要です。
デメリットの点からやめとけと言われている
やめとけと言われる理由として、退職の際にすぐに退去しなくてはいけない点や自由に物件を選べないことが挙げられます。
多数あるメリットを考えると仕方のないことだとは思いますが、その人の理想のライフスタイルによっては想像しているよりも良い点ばかりではないのかもしれません。
たしかに、物件を自由に選べない点については隣人に会社の人が住んでいる場合もあり、外出するときも気が抜けないなどの意見もあります。
ですが、借り上げ住宅は寮とは異なり、複数人で共同生活をしているわけではないので、多少のコミュニケーションは発生する可能性はありますが、ある程度自分のスペースが作れれば問題ないという方にはおすすめです。
また、退職したらすぐに退去しなくてはいけない点については企業から支援を受けている以上は仕方がないことです。
なので、ある程度の不便はメリットの対価として考えれる人には問題ないでしょう。
貯金をしたい、自由に使えるお金を増やしたいなど目標をもって望むことが重要です。
貯金を増やしたいならおすすめ
社員寮を含め、借り上げ社宅に住むことができると生活コストを下げることができます。
借り上げ社宅には基本的に食堂がついていないので、より貯金を増やしたいのであれば、社員食堂が付いている寮を選ぶのが良いでしょう。
食堂があれば、食費も浮かすことができるので、より効率的に貯金ができます。
しかし、食堂がない借り上げ社宅でも家賃や光熱費が安いので、貯金するには十分でしょう。
| 一人暮らし | 借り上げ社宅 | 社員寮 | |
|---|---|---|---|
| 家賃+光熱費 | 6万円 | 5千円~1万円 | 0円~2万円 |
| インターネット利用料 | 4千円 | 4千円 | 0円 |
| 食費 | 4万円 | 4万円 | 3万円 |
| 月額合計 | 10万4千円 | 4万9千円~5万4千円 | 3万円~5万円 |
上記の表は一般的な一人暮らしと借り上げ社宅、社員寮を比較し1か月あたりどれくらいの差があるのか表したものです。
社員寮については寮費光熱費が無料のところや社員食堂が付いているところも多数あるので、振り幅はありますが、相場は上記の金額くらいになります。
社員食堂が付いている場合、食費については1食あたり500円ほどが相場となるので週5日、朝夕の食事を500円で購入した場合、月にかかる食費は2万2千円となるので、それ以外の食事を含めても3万円で済むと思います。
また、最近ではWi-Fi完備されている社員寮も多いので、今回はインターネット利用料を0円で計上しました。
一般的な一人暮らしと比べても5万円以上も差があります。
さらに、借り上げ社宅や寮は新生活を始める際にもおすすめです。
不動産契約をすると家賃5万円の物件でも初期費用で数十万円かかることもありますが、借り上げ社宅や社員寮は不動産契約を不要としているため、初期費用がかかりません。
結論として、貯金、自由に使えるお金や手取りを増やしたい人は借り上げ社宅や社員寮を強くおすすめします。
別記事で、住み込みに向いていない人の特徴をまとめた記事もありますので、自分は住み込みで働くことに向いているかどうかを判断する材料にしてみてください。
まとめ
本記事では借り上げ社宅に関する基本情報やメリット・デメリットについて紹介しました。
デメリットもありますが、メリットを考えると借り上げ社宅はかなりおすすめです。
短期的な貯金などを目標に一定の期間頑張って、貯金を貯めるという働き方や生活費を抑えて、長期的に多額の貯金をしたいという方にもぴったりな働き方です。
今の生活がギリギリだという場合や生活コストを抑えながら貯金をしたいという方は、借り上げ社宅も含め、住み込みで働くことに興味があれば是非検討してみてください。





